うむ。苦しゅう無いぞ。
次の目的地は、一度セルチュクの街に戻ってエフェソス考古学博物館。
普段は車で待っている運転手も、珍しく入場。予約時に通常の観光コースにねじ込んだので、普通の人はあまり行かないところなのだろう。

▲やたらリアルだが実は人間はでっかい写真を切り抜いただけのハリボテw

▲とぐろを巻くヘビ

▲ちっちゃいアルテミス
さて、ここには有名なアルテミス像がある。
エフェソスと言えばアルテミス、アルテミスと言えばエフェソスなのだ。
アルテミス像は奥の方。大小二体いるのだが、小さい方も2m以上ある。大きい方が「大アルテミス」小さい方が「美しきアルテミス」と呼ばれている。

▲大アルテミス

▲美しきアルテミス
ギリシャ神話のアルテミスはゼウスの娘の一人。太陽神アポロンと双子の月の女神で、狩猟と純潔の守護者とされている。ローマではディアナ、英語で読むとダイアナだ。
なのだが、小アジアのアルテミスは純潔とは正反対の豊饒神。腹部に大量の乳房(あるいは生け贄とされた牛の睾丸と言われている)をぶら下げた、どう見ても異形の女神だ。むしろ性質はどちらかというと豊饒神デメテルに近い。
実はこっちのアルテミスの方が起源が古く、元々は世界最古の部類に属する大地母神だったらしい。シュメールのイナンナ、あるいは派生したイシュタルやアスタルテ、キュベレといった大地母神がこのエフェソスではアルテミスとして大きな信仰を集めていた。ギリシア神話がこの女神を吸収した形になる。

▲七不思議アルテミス神殿の模型。

▲奥にアルテミス像があった模様。芸が細かい。
さて博物館を出て、実際のアルテミス神殿跡へ行ってみることにした。
広い荒れ地に、巨大なアヒルが数匹いた。

奥には大きな柱が一本、しかもその辺の石を適当に積まれただけ。
「正しい柱石を集めてかろうじて一本蘇らせました」ではなく、バラバラなのだ。

あとは石材の残骸が無造作に散らばっている。
これがかつて世界七不思議と呼ばれたアルテミス神殿の跡地だ。
フィロンが七不思議と呼んだ古代の建造物でまともに残っているのはギザのピラミッドだけになっている。ちなみにフィロンはビザンティウム(=イスタンブール)出身である。
神殿で使われていた石材は、奥の山に見えるイサーベイジャーミィ(モスク)とヨハネ教会の建造のため持って行かれたらしい。
ガイド曰く「2015年を目処にユネスコが再建を検討しているらしい。でも私は信じてないですけどね。お金がかかりすぎる」とのこと。是非とも復活させて欲しいなぁ。
ちなみにヨハネ教会は福音書や黙示録で名を知られる、十二使徒ヨハネの墓所なのだそうだ。
何でも、ヨハネは聖母マリアと一緒にエフェソスにやってきて、ここで生涯を終えたらしい。
本当はその後その後でマリアの家と伝えられている教会にも行ってみたかったのだが、行くと次のパムッカレで暗くなるかもしれないと言われあきらめた。夏なら余裕あったんだろうけど、残念だ。
荷物のロスタイムが痛いなぁ。
そんなわけで、我々はエフェソスを後にして次の目的地、パムッカレに向かった。と、その前にパムッカレに向かう途中のレストランで昼食。

ユフカという薄パン。無限に出てくる。

サラダ。ビーツが入っていて色鮮やか。レモンをかけて、オリーブ油、ザクロソースをお好みで。ザクロソースが結構美味しい。

ミックスケバブ。キョフテ(羊のハンバーグみたいなもの)、アダナケバブ(辛めの羊つくね)、そしてセルチュク名物チョップシシ。
チョップシシは小さい羊の串焼きで、ユフカでくるんでこそぎ取るのが流儀らしい。味は結構羊がきつい。

食後にチャイが出てきた。チャイと言ってもインドのようにミルクティーが出てくるわけではなく、ただの紅茶だ。
トルコ人はとにかくチャイが大好きで、ガイドも運転手も気がついたらチャイを飲んでいる。特徴的なのはこのグラス。熱い紅茶が入るので耐熱性だと思うのだが、触るととても熱い。柄ぐらいつけろよと思うのだが、この最初熱くて持ちにくい所も含めて味なのかもしれない。

▲看板娘?のオウムだかインコだか。何と「メルハバ!」と鳴く。メルハバとは英語で言うとHELLO。