早起きして、予約を入れたヴァチカン美術館に向かう。
http://biglietteriamusei.vatican.va/musei/tickets/do?weblang=en&do
ヴァチカン市国は言わずと知れた世界最小国家。
面積0.44平方キロは東京ドーム約10個分で、東京ディズニーランドよりも少し小さい。
世界に広がるローマ・カトリックの総本山で、ローマ教皇が統治する宗教国家だ。
世界最少800人の国民の内訳は教皇と聖職者、スイス衛兵のみで、役職を終えるとそれぞれヴァチカンから帰国する。つまり、ゆりかごから墓場までヴァチカン暮らしという人間はいないということだ。
ヴァチカン市国は完全にローマ市内にあり、ローマとの行き来も自由にできる。
どこが国境だったのかわからないぐらいだが、立派な独立国家なのだ。
そしてヴァチカン美術館は、カトリック教会の中心・サン・ピエトロ大聖堂に併設された美術館である。
サン・ピエトロ大聖堂自体は地下鉄のオッタヴィアノ駅が近いのだが、美術館の方は隣のチプロ駅の方が近い。それぐらい巨大ということだ。
予約時間があるので割と余裕を持ってホテルを出たつもりだったが、上り坂が多かったのもあり、走ってぎりぎりだった。
へとへとになりながら美術館に到着すると、オープン前から行列ができている。
だが、ネット予約をした人は、印刷したバウチャーを見せると長蛇の列を横目に優先入場できるのだ。
個人で行く場合は是非予約していきたい。
さて、このヴァチカン美術館。正確にはヴァチカン宮殿で、教皇の居城になっている。
宮殿の大半を美術品が占めているので美術館として開放しているのだが、本来は教皇の家というわけだ。
内部はとても広く、館内の順路は一応あるにはあるが、自由に回れる。

▲入り口

▲珍しいギリシャ風のアヌビス

▲アッシュールバニパルの時代の石版

▲どう見ても落書きにしか見えない

▲ギリシャの医神アスクレピオス。蛇遣い座。蛇が1匹絡みつく杖は、WHO(世界保健機関)のシンボル。

▲ギリシャのヘルメス。2匹の蛇が絡みつく杖はカドゥケウスと呼ばれる。よくアスクレピオスの杖と間違われる。

▲顔がキン肉マン

▲中庭

▲ラオコーン。トロイの木馬を怪しんだせいで、アテナ女神に呪い殺された悲劇のおっさん。

▲珍しいミトラス神の像。クリスマスが12/25なのは、ペルシャ起源のミトラスのお祭りが起源。

▲やたらできのいいライオン

▲ベルヴェデーレのトルソ。胴体しかないが重要な像らしく、ミケランジェロに大きな影響を与えた。

▲ヘラクレス。だいたい棍棒を持っているので識別しやすい。

▲トルコ風のアルテミス。ギリシャのアルテミスとはイメージが大分異なる。

美術館は途中で、ラファエロの間に入る。ミケランジェロやダ・ヴィンチと並び称される、ルネサンスの巨匠ラファエロのフレスコ画が飾られた4つの部屋の総称だ。

▲ラファエロ『聖体の論議』

▲ラファエロ『アテナイの学堂』。中央のプラトン・アリストテレスを筆頭に、アテネの哲学者総出演というテーマの作品。

▲「考える人」のレプリカ。実際は「地獄の門」の一部で、死者を上から眺めているポーズ。

▲なんじゃこりゃ

▲なんじゃこりゃ2

▲よく見ると・・・・・・

▲マツコデラックスだった

▲真女神転生3に出てくるミトラのモデル
昼飯は美術館内のピッツェリア。
といっても、フードコートのようなものだ。
数種類のピッツァから1枚選んで切ってもらうのだが、たまたま焼きたてが当たるかどうかで味の差が大きく、運が大きく左右する。

スプライトが美味しかった。薄めたのも悪くない。
さて、食事の後も、美術館のコースは続く

そしていよいよシスティーナ礼拝堂。
世界のカトリックの中心、ヴァチカン宮殿の中心にある礼拝堂だ。教皇の執務室であり、そして教皇を選出するコンクラーベの会場でもある。
コンクラーベでは、各国の枢機卿が次の教皇を投票で選ぶ一大イベントだ。
ベネディクトゥス16世の在位が短かったのもあって、ここ10年で2回行われているので、認知度も上がっている。
コンクラーベ中は礼拝堂に鍵がかけられて、内外の移動はできない。そもそもコンクラーベとは「鍵がかかった」という意味である。
聖職者が枢機卿まで上り詰めると大抵相当のおじいちゃんなので、なかなかハードなイベントではなかろうか。Wikipediaによると、2005年の枢機卿183人のうち、選挙権がある80歳以下は117人だけだったらしい。
ものすごい数の人。人。人。
お目当ては何と言ってもミケランジェロの絵画。天井には『天地創造』、壁には『最後の審判』が描かれている。

※最後の審判の絵は、中庭にあった写真を撮影
そもそも最後の審判というのは何かというと、キリスト教ではある日突然世界が終わってイエス・キリストが復活し、そのタイミングで死者が全員一度蘇る。そして、キリストが一人一人に審判を下し、天国と地獄に選り分けるというのだ。
というわけで、この絵の中心にいるのはキリストで、上の方には天国に行く人、下の方には地獄に行く人が描かれている。通常はヒゲとロン毛がチャームポイントのキリストだが、この絵のイメージはそれとは全く違うのが特徴的だ。

▲『最後の晩餐』を描いた巨大なタペストリー


▲ミケランジェロ聖母子像のレプリカ
出る頃には2時前だった。
